conversations/対談インタビュー

2026.3.23 | #子供・家族 #物語/文学

弁護士・富永愛の「人となり」─ 熱く、はみ出し、全力で。

はじめに

医師免許を持ち、医療過誤・医療訴訟に特化した患者側弁護士として大阪・高槻を拠点に活躍する富永愛先生。医療分野を専門とする弁護士として数々の医療事件に向き合いながら、そのキャラクターはどこか破天荒で、愛嬌にあふれています。突っ込みすぎる性格、燃え尽きるまでやめられない熱中体質、そして財布や鍵を何度もなくすおっちょこちょいな素顔。インタビューを通して、弁護士・富永愛の「人となり」について触れていきます。

 

「突っ込みすぎ」が、私の基本設定

インタビューアー

富永先生の人となりをお伺いしていきたいと思います。周りからどういう風に言われることが多いですか?

富永先生

よく言われるのは「気さくな人」です。初対面の方でもまったく問題なくて。基本的に話すことが好きなので、どこに行っても、初めての方にお会いしても、気さくな人だと言っていただくことが多いです。それは仕事を離れても変わりませんし、プライベートでもそうですね。とっつきにくさはないかなと自分でも思います。

あとは、“突っ込みすぎな性格”だと思います。熱中すると周りが見えなくなってしまうことが多くて。それは幼い頃からそうです。飽きっぽい性格ではあるのですが、自分がやりたいことになると朝までやってしまうタイプで。次の日も学校があることを考えず、夜中の3時4時まで没頭して、遅刻ばかりして校長先生の部屋に呼び出されたこともありましたね(笑)。親は呆れていました。

インタビューアー

その時は何に熱中されていたのですか?

富永先生

例えば推理小説。アガサ・クリスティーを読み始めると、全部読まないと気が済まなくて。ポアロを読んだら次も、また次もと続いてしまう。図書館で全集を借りてきたり。ほかにも白話小説の水滸伝とかも全19巻を1日2冊くらいのペースで読んでしまったり。他のことが何も手につかなくなるくらい没入してしまうんです。

インタビューアー

バランスを取るのが上手じゃないんですね?

富永先生

そうかもしれません。やると決めたら、ほどほどでやめられなくて。それは訴訟でも同じかもしれません。納得できるところまでやりきらないと気が済まなくて。力が抜けない性格なんだと思います。

「絶対に負けたくない」が原動力

インタビューアー

のめり込んでしまう、熱中してしまうものの共通点はありますか?

富永先生

負けず嫌いというのはあります。それと、競うことが好きなのかもしれません。水滸伝のように「革命を起こす男たちのドラマ」や、苦境の中で頑張る女性たちのドラマにははまってしまいます。なので実際に、人間ドラマの中で戦っている人とか、スポーツにのめりこむ人、仕事でも熱く夢を語るタイプの人や正義感の強い方とはすぐに意気投合してしまうかもしれないです。

もう少し穏やかに上品に生きていければ良かったのですが、ついつい熱くなってしまうんです。言うことも行動も。だから弁護士の仕事でもそういうところが出ていると思います。

「このくらいにしておこうか」という打算ができない。尋問の準備にしても「そんなに結果は変わらない」と知っていても必死でやってしまう。やっぱり「やるからには絶対に負けたくない」という気持ちがあるので、常に全力投球しかできない。

でも、その熱苦しさに共感し協力してくださるドクターもたくさんいらっしゃるんです。みなさん最初は「会うだけですよ」「少し話すだけですよ」とおっしゃって。それで私が「すぐに伺います!」と言って北海道でも沖縄でも本当にどこでも飛んでいくので。何度もお話ししていると、多くの先生が「そこまで言うなら仕方ないですね」と言って、協力してくださる。同じことを他の人がしても同じようにはいかないことも最近分かってきて。仕事って、マニュアル通りではないところがあると思うんです。

思いついたら、とにかくやってみる

インタビューアー

全力で取り組む姿勢が、訴訟の結果にもつながることがあるのでしょうか?

富永先生

あると思います。これまで一度もお会いしたことのない著名な先生にダメ元で手紙を書いてみようとか、直接会いに行ってみようとか、本当にやってみるんですよ。会えなくても、置き手紙をしてくると、多くの先生は、少しは反応してくださる。なかには「お話はできないけれど申し訳ありません」という返事もありますが、わざわざ書いてくださったことに感激しますよね。無視されることはほとんどなくて、著名な先生方はやはり人としての器というか懐の大きい方が多くて、会ってくださることが結構あって、本当にありがたいです。

できることを思いついたら、まず、後悔しないようにやってみる。その積み重ねが、今の協力医の先生方との関係につながっています。ある県の医療事件では、県に唯一の大学病院の先生が会ってくださり、その先生のコメントが決め手になって、裁判官もよくあの大学病院の先生が書いてくれましたね、といいながら和解にしてくれたことがありました。その事件は、実は訴訟前には本気で『負けるかもしれない』と思っていたんです。でも、最後まで諦めずにとにかく思いつくことをやってみようと、いろんな先生にお願いをしに行った結果が、勝ちに等しい和解につながりました。

高校時代の同級生からは「愛ちゃんみたいなアウトローな人が法律家になるなんてヤバい」と言われていました(笑)。人と同じが嫌、と思っていた学生時代でした。でも、そのアウトローさが、今では武器になっているのかもしれません。

「明日死んでもいい」と思って、今日を生きる

インタビューアー

座右の銘や大切にしている言葉はありますか?

富永先生

「明日死んでもいいと思って生きている」というのはあります。

これまでの人生の中で、死を身近に感じる経験が何度もありました。そのときに気づいたのは、何をするにも一生懸命やっていたい、後悔したくないということでした。仮に突然自分の人生が終わるとなっても、「まぁ精一杯やってきたから、こんなもんでいいんじゃない?」と言えるようにと思って、日々を過ごしています。

弁護士の仕事にしても、「人のために」という感覚だけではないんです。もちろん困った人を助けたい思いはあります。でも、「自分が勝ちたい」という思いもあって依頼者と一緒にやっている感覚です。勝ってあげたい、こんな事件で負けるはずがない、という思いが自分の中でとても強くて、やらされているという感覚は、まったくありません。好きで、やらせてもらっているんでしょうね。

だいたい相談依頼が来た段階で、お引き受けできるかどうかも、「これは許せない」と自分が思えるかどうかで決まります。自分が事件として見て「許せない」という思いがあって、それを依頼者と共有して共に戦っていく。おそらく依頼者の方の中には、ご自身が思っている以上に富永が「絶対に許せない」と言って色々し始めるので、「いや先生、そこまでしなくていいですよ」と思われているかもしれないです(笑)。

インタビューアー

先生が代わりに怒ってくれることで、もしかしたら救われる部分もあるのではないでしょうか?

富永先生

依頼者の方がひとりで抱えてきた怒りや悲しみを、私が一緒になって「許せない」と言葉にすることで、少し気持ちが楽になってくださることはあるかもしれません。代わりに怒ることが、私にできる仕事の一つだと感じています。

頭を空っぽにするために、限界まで追い込む

インタビューアー

仕事の合間のリフレッシュ方法は何かありますか?

富永先生

最近私がハマっているのがサウナです。医学的に説明すると、サウナは熱刺激によって交感神経を強制的に優位にした後、水風呂でその興奮を急速に鎮めることで、反動として副交感神経が優位な状態を作り出す仕組みなんです。この切り替えが起きた直後の状態が、いわゆる「整う」と言われるもの。脳内では快感ホルモンといわれるオキシトシンの分泌も促されるので、お酒のほろ酔いに近いリラックス感が得られる。医学的に理にかなったリカバリー法だと思っています。

水泳も続けています。仕事では熱くなりすぎ、没入しすぎる性格なので、意識的に頭を空っぽにする時間を作らないと、本当に頭の中がごちゃごちゃしてきて。その点で水泳はとても合っていて。泳ぎ始めた頃はほとんど泳げなかったので、ただ必死になるしかなくて肩こりも楽になって。その「必死になる」という状態が、事件のことを忘れられる唯一の瞬間なんです。逆に泳ぎが楽になってくるとダメで、泳ぎながら書面をどう書こうかとか考えはじめてしまう。頭を空っぽにするためにも、ストイックにちょっと負荷をかけないといけない(笑)。リフレッシュの作業まで全力でやらないとできないというのは、我ながら困った性分だとは思います。

インタビューアー

自宅にもウォーキングマシンを最近買われたとか?

富永先生

ええ、買ったらやはりやりすぎてしまって(笑)。時速2キロくらいだと、医学書を読みながらできてしまうので、頭をリフレッシュさせるために使うとなると時速6キロくらいの負荷にしないと余計なことを考えてしまうんです。

あとは、観葉植物を育てることも好きです。事務所をジャングルのようにしたいくらい(笑)。ただ、すでに大きく育っているものよりも、小さなものを自分で育てていくのが好きで。根がしっかり張ってきたら鉢を替えてあげたり、「あの子には何色の鉢が似合うかな」と考えてみたり。気がついたら、水やりは事務所スタッフのあいだで「先生の仕事として残しておこう」ということになっています。植物に水をやったり、じっくり眺めている時間は、私にとって必要な切り替えのための時間だと、スタッフも理解してくれています。夜も事件のことを考えるとカッカしてくるので「そろそろあの子の植え替えをしないと」なんて考えながらだと、不思議とぐっすり眠れるんです。

今は、自分の体力が衰えていくことはとても危機感を感じていますね。30代・40代は、そのまま突っ込んでいっても昨日の自分より成長できたかもしれないですけど、だんだん肉体的にも集中力も落ちてきていて。そんな中でも「昨日の自分より少しでも前進を」と思って、サウナや水泳、ウォーキング、そして観葉植物たちに囲まれながら、今日も過ごしています。

おっちょこちょいで、枠からはみ出して生きてきた、それが私。

インタビューアー

日常生活では、おっちょこちょいなところも多いとお聞きしましたが。

富永先生

ええ、本当におっちょこちょいなんです(笑)。自転車の鍵はよくなくすし、財布を忘れたり落とした回数はおそらく一桁ではないです。おつりの計算も苦手ですし、忘れ物は小学校の頃からずっと通知表に三角しかなくて。次のことに熱中してしまうと、前のことが全部抜けてしまうんです。母親には「なんであなたは普通のことが普通にできないの」と何百回言われたかわからないです(笑)。「普通って何?」とかいう生意気な子供でした。

振り返ってみると、ずっとそうやってちょっと枠からはみ出してきたんだと思います。まわりの大人がそんな自分を「仕方がないなぁ」と許してくれたから今があるとも思います。バランスが悪くて、偏りがあって、熱中しすぎる。弁護士になって、さらに医師になって医療過誤という分野に特化して。どれも、普通に考えれば「そこまでしなくても」という道ばかりで。普通ならクリニック開業するよね、といわれます(笑)。でもちょっとはみ出している、それが自分らしさなんだと、今は思っています。

楽に生きることが退屈で、熱中している時間が好き。「なんとかなる」という楽観主義で、今日も全力で生きています。その熱苦しさが、依頼者の方の力になれるなら、こんな私でも世の中の役に立てるかも、と思います。これからも変わらずそうあり続けたいです。

 

「これは医療ミスではないか」医療の現場で何かおかしいと感じたとき、その違和感を一人で抱え込まないでください。富永愛法律事務所は、医師免許を持つ患者側弁護士として、医療過誤・医療訴訟を専門に取り扱っています。一歩踏み出す勇気が、解決への道につながります。まずはお気軽に、無料相談をご利用ください。

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  • この記事を書いた人
    (プロフィール)
    富永愛法律事務所
    医師・弁護士 
    富永 愛(大阪弁護士会所属)

    弁護士事務所に勤務後、国立大学医学部を卒業。
    外科医としての経験を活かし、医事紛争で弱い立場にある患者様やご遺族のために、医療専門の法律事務所を設立。
    医療と法律の架け橋になれればと思っています。